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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(れ)16号 決定 1952年8月30日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

弁護人飯野豊治の抗告理由について、

原決定の趣旨とするところは、抗告人に対する所論詐欺被告事件について、第二審弁護人鈴木貢は未だ抗告人から上告申立手続の委任を受けたものとは認められないから、抗告人が右弁護人において上告申立をして呉れるものと軽信し上告申立期間を徒過したのは抗告人の過失によるものであり、仮りに同弁護人が右上告申立手続の委任を受けたものとするならば、刑訴三六二条にいわゆる「代人」として、同弁護人に過失があったことに帰着するというにあるのであって、所論の如く上告申立手続の委任が成立していなかったことを認め乍ら右弁護人の過失を以て「代人」の過失とした趣旨ではない。従って、原決定は何ら昭和八年(つ)第一号同年四月二六日大審院第三刑事部決定と相反する判断を示したものではないから、この点に関する判例違反の主張はその理由がない。なお、論旨引用にかゝる昭和二年(つ)第三号同年二月一七日大審院第二刑事部決定はその後大審院当時既に変更せられたものであることは、原決定の説示するとおりであるから、この点に関する判例違反の主張は適法な上告理由と認められない。

よって、刑訴四三四条、四二六条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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